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キス4

2018.01.28 21:35|ゆかゆゆ
6時間以内に6RTされたら幽々子に紫が恐る恐ると頬に親愛、厚意、満足感のキスをされるところを描き(書き)ます
https://shindanmaker.com/257927初めてゆかりん→幽々子が出た!

しかも今までよりもずっとお題がかわいらしい……。
親愛・厚意はともかく、満足感のキスはちょっとえっちに聞こえますね。


*********************
「日盛りにふらりと出ていってしまったのです」

散々探し回って疲れ果てたらしい従者が助けを求めてきたのは、いなくなってから四時間たってからだった。
白玉楼を留守番幽霊に任せるくらいだ。
妖夢は『ちょっと』お出かけしている幽々子を本気で心配しているらしい。

「心当たりは?」

「紫さまのところかと思っていたので、そう心配はしていなかったのですが……」

「お役にたてなくてごめんなさいね。期待に背いてしまったけれど、うちには来ていなくってよ」

妖夢はがっくりとうなだれ、二振りの刀を胸に抱いた。
まあ、やめて。こんなことで腹を切る覚悟じゃないでしょうね。
わたしの家を血で染めるのはやめて頂戴。

「いいわ、わたしが探しにいってあげる」

「紫さまが夏の日差しの下に出ていかれるのですか」

「仕方ないじゃないの。うっかり里のお屋敷に迷い込んでいたらご迷惑でしょうし、それに、いまさらだわ
わたしを頼ってきたんでしょう」

隙間から日傘を取り出し、手元のつまみを押して、ポン、と傘を開く。

「大丈夫よ。すぐ見つかるわ。泰然自若としているのが幽々子のいいところよ」

「で、あれば落ち着いて黙って座っていて欲しいのですが」

「そうね。まったくだわ」

すっかり眉がハの字になってしまった妖夢に待っているよう言い、藍にお茶を出すよう言付けて、わたしは空へ飛び立った。
すぐに見つかるだろう。
幻想郷から出ていく事はないのだし、それならばわたしの手の内にあるのと同じ。

きっと夏の澄んだ朝の空に吸い込まれて、ふらふらと彷徨っているのだ。
真夏は幽霊の季節ですものね。
それでも、幽々子も夏の暑さは得意ではないだろう。
気候の安定している白玉楼で暮らしていれば、体も急激な変化に弱い。
ちゃんと春夏秋冬やってくる冥界だけれど、その訪れは穏やかで、夏でさえ屋内で風に当たっていれば心地よく感じる程度。
幽々子は冥界と外の違いがわかっているのかしら。

今、こうして空を漂い、周りに目をこらしているわたしでも、傘がなければあっさりギブアップしてしまうのだ。

「空は太陽に近いし……早く涼みたいわ」

わたしは山と湖に足を向けた。
あちらなら涼しい風が吹く。
暑さから逃げるならもってこいだ。

「早く連れ戻さないといけないわね」

天狗と新興宗教の安定した自治に妖精も活発に動いているようだった。
突然襲ってくる妖怪もいないので、のびのびと夏を楽しんでいる。
聞き込みせずとも、あやしい動きをしているものを見つけるだけでいいのだ。
あれらは、ほら、わたしがはっきり言ってしまうのもアレだけれど、おつむの方が若干あやしいものたちだから、逆に普段と違うことが起これば大騒ぎするに決まっている。
大きな太陽にはしゃいでいた妖精が、下の地面に映ったわたしの影におののくのを見た。
ううん、ここじゃないわね。きっと、もっと、先。
影におびえるのだもの、何事も起きていないのだ。

どこかしら。
いつぶりかしら。こうやっていなくなった幽々子を探して歩くのは―――。
二度とごめんだと思っていたはずだ。
必ず見つかるなら話は別だけれど、それだって幽々子のことだ。
何をしでかすかわかったものじゃない。

木々の間から妖精たちがわたしを見上げている。
おびえるもの、興味深げに見続けるもの、後を追おうとするもの。
わたしの飛ぶ速さについてこれず、失速し「次は勝つ―――!!!」「やめて!」と声が遠ざかっていく。
物おじしないのは愉快だが、今はそれどころではない。
幽々子にとって、あれらの命も軽く握ってしまえるのだ。

そう、軽く握って、砕けてしまうのだ。

異変を感じたのは、山を少し上がった場所。
湿原に池塘が点々と広がっている。標高が高くなると水の気配は消え、ただ広く低く植物が生えているのみとなる。
そこに高山の花畑が人の形に茂っていた。

「……ひと、ふた、み、よ」

人型は五つあった。
頭のてっぺんから足の先まで、着ていたもののシルエットまで写し取ったように、花が密集して咲いている。
高い山に咲く花は小さい。可憐だ。背が低く、栄養の乏しく気温の低い高地では肩を寄せ合うように咲く。
決して人の手で作ったような『花畑』になるはずがない。
肩を寄せ合い、それでも根のはれる場所を奪い合い、霞みの中で花弁を揺らすものなのだ。
それが、まるで固めて種を撒いたように。

「ありえないわ」

地面に立つと、くるぶしにも満たない短い草とじっとりとしたコケがパンプスに食い込む感触を感じた。
さささ、と何者かも逃げていく。
きっと、この辺りを根城にしている妖精だろう。

「幽々子」

五つ目の人型の花の中に手を突っ込み探り、コケの胞子が喜んで根を張ろうとしている袖を見つけて、両手で引いた。
ぶちぶちぶち、と体を覆っている茎や葉がちぎれる音がした。

「起きなさい、幽々子」

「……紫」

「立って」

幽々子は目をこすりながらも、わたしのいう事に素直に従った。
立ち上がると花々がちぎれて体の上を転がっていく。

「いい天気だから、ひなたぼっこしていたのよ」

「敷布も敷かずに地べたに横にならないでちょうだい」

「太陽が気持ちよくて。私を養分にして花が咲く夢を見たわ」

にっこりと笑う幽々子の髪の毛には編み込んだように花がまとわりついている。
太陽の動きに合わせて寝る場所を変えていたんだろう。
日が山や雲に隠れると、その都度もっと温かい場所へと移動して、そこで花を咲かせて。

「いいお昼寝だったようね。帰るわよ。妖夢がとっても……心配していたんだから」

「まあ、それで紫が探しに来てくれたの?」

「なりゆきね。ほら、これ以上日に当たったら暑気あたりするわよ」

「そうならないように高くて涼しい場所に来たのに」

閉じていた傘をさして幽々子を陰に入れると、足元で咲き誇り、幽々子の体に這い上ろうとしていた花が一瞬で茶色く変色した。
幽々子が片足をあげた。
萎えた花に絡まれていたのが自由に動かせるようになったのだ。

「わたしに供えてくれるなら、こういう小さな野花がいいわ」

「……そう」

幽々子はわたしの手をとり、ふわり、と浮いた。

「帰りましょう?」

「わたしのセリフだわ」

地面から距離を取り始めると、咲いていた四つの人型の花畑も萎えてくたりと倒れていく。
本当に幽々子から養分を得ていたのかしら。もし妖精が……と考えて、頭を切り替えた。
もしも、そうだとして、わたしは今目の前で萎れていくのをみている。

……供えられていたのは幽々子だったのかしら。
わたしの影に入ったとたん萎れ腐り始めた花。
わたしには手折ることもできない、日向の花。

横を見ると、幽々子の髪の毛からしがみついていた花がもはや限界と離れ散って行く。

「お空は太陽が近くて熱いわね」

傘のかげから太陽を見上げる幽々子の頬には青白い血管が浮いている。
あれには太陽の熱が循環しているのか?まったくそうは見えなかった。
繋いでいた手を引き寄せて、その白い頬に唇を押し付ける。
やはり、ひやりとしている。

「急にどうしたのよ」

「別にいいじゃない」

すぐさま離れたわたしに、幽々子は不審な顔をした。
幽々子の頬は少しだけ赤くなっていた。
唇から熱がうつったように見えた。

「……一度だけ?」

かわいらしく首をかしげるので、宙でとどまったまま、もう一度唇を押し付けた。
そっと頬に、もう一度。そのまま、唇へ。

風が吹いて、幽々子から全ての花が散って行った。
それでいい。
手折った花は役目を終えた。

「暑くなってきたわ―――……」

顔が赤い。
わたしは微笑んで、手を引いて家路を急いだ。
幽々子を手折ったのはわたしなのだから、熱はわたししか与えられないのだ。
それは太陽が花を咲かせたのと同じくらいの満足感だった。







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